「足がパンパンで靴が入らない…」「朝より夕方がつらい…」
妊娠中期〜後期にかけて増えてくる“むくみ”の悩み。多くの妊婦さんが経験しますが、どこまでが正常で、どんな対策をすればいいのか悩んでしまいますよね。
この記事では、助産師であり、妊娠中のむくみに悩まされていた私が、実際に試して効果を感じたむくみ対策をリアルに紹介しています。
簡単な運動、着圧ソックス、食事や飲み物など、ズボラでも続けられる方法です★
「これって大丈夫?」と思った時にチェックできるポイントもお伝えしています。
妊娠中にむくみやすくなるのはなぜ?
妊娠中のむくみは複数の生理的変化によるもの
1.血液量が増えることで、体に水分がたまりやすくなる
妊娠中は、赤ちゃんに酸素や栄養を届けるために血液量が約1.5倍に増加します。
血液中の「水分(血漿)」が増えると、毛細血管から水分が漏れ出しやすくなり、皮膚の下にたまり、むくみの症状が出ます。
2.大きくなった子宮が静脈を圧迫し、血液の戻りが悪くなる
妊娠後期になると、子宮の大きさが骨盤内の血管(特に下大静脈)を圧迫します。
特に仰向けや長時間立っている時に、足から心臓への血液の戻りが悪くなり、むくみが起こりやすくなります。
3.ホルモン(プロゲステロン)の作用で血管がゆるむ
妊娠中は、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が増加します。
このホルモンは筋肉を緩める作用があり、血管の壁もゆるんで広がりやすくなります。血管が緩むことで、血管外に血液中の水分(血漿)が漏れやすくなり、むくみにつながります。
4.血中アルブミン(たんぱく質)が薄まり、水分保持ができにくくなる
妊娠中は、血液中の水分(血漿)が増え、血液が薄まる状態になるため、血液中のたんぱく質濃度(アルブミン)が低下します。
アルブミンは血管内に水分を引き込む働きがあるため、それが少ないと水分が血管外へ出やすくなり、むくみの原因になります。
以上のことから、一般的には妊娠中期以降からむくみを感じる人が増えます。
妊娠中のむくみは「赤ちゃんに必要な栄養を届けるための準備」とも言えます。
しかし、妊娠高血圧症候群などの異常なパターンもあり、次の項で解説!
異常なむくみって、どういうむくみ?
むくみを伴う妊娠中の疾患:妊娠高血圧症候群
いつごろ?
妊娠20週以降、分娩後12週までの期間に、症状があり診断されます
どんな症状?
- 140/90㎜Hg以上の高血圧:高血圧に伴う頭痛や目のチカチカ
- むくみ:重症な場合、足だけでなく、手や顔もむくみます。また、むくみに伴う急激な体重増加もみられます。
- 蛋白尿
様々な合併症
器官 | 合併症 | 症状 |
---|---|---|
全身 | DIC | 出血が止まりにくくなる状態 |
脳 | 子癇発作 | 意識障害を伴うけいれん発作が止まりにくくなる状態 |
脳出血 | けいれんだけでなく、麻痺症状などがある | |
肺 | 肺水腫 | むくみと同様に肺にも水が溜まりやすくなる |
肝臓 | HELLP症候群 | 肝臓が障害され、溶血(赤血球がこわれる)や血小板の減少、血栓の形成などの症状が出てくる |
腎臓 | 腎機能障害 | 腎臓の機能低下により、尿の量が減る。通常再吸収されるたんぱく質が尿として排出される(蛋白尿) |
胎児 | 常位胎盤早期剥離 | 生まれるより前に胎盤が子宮壁から剥がれてしまう |
胎児発育不全 | 妊娠週数に比して推定体重が小さめ | |
胎児機能不全 | 赤ちゃんの心音が徐脈になる、元気がなくなる |
治療
原則は妊娠を中断することが治療です。(要は、妊娠が母体にとって過度な負担である状態)
ただし妊娠週数や赤ちゃんの未熟性も考慮し、分娩時期を決定します。
以下は、高血圧に対する対症療法や合併症の予防です。
- 安静と光刺激を避ける
- 食事療法
体重コントロールや緩やかな塩分制限 - 薬物療法
降圧剤により血圧を下げる
硫酸マグネシウムにより子癇発作を予防する
生理的なむくみと、異常なむくみの鑑別ポイント
むくみ+以下の症状があれば受診もしくはかかりつけ医に相談しましょう!
- 急激にむくむ
- 左右差のあるむくみ:深部静脈血栓症という病気の特徴的な症状。
血の塊で、足の血流が妨げられる病気。妊婦さんは血の塊ができやすい状態。 - 血圧が上がっている:140/90㎜Hg以上で要注意
- 目がチカチカする、頭痛がある
- おしっこの量が減った
私が妊娠中にしていたむくみ対策
体操:足首曲げ伸ばし
職業柄立ち仕事が多く、妊娠前からむくみやすい体質でした。
一晩寝て起きても、むくみが残るくらい😂妊娠中はより浮腫みやすいだろうと思い、つわりが治まってからふくらはぎの筋トレを始めました。

横になって足全体を上げた状態で、足首を曲げたり伸ばしたりを繰り返します。
寝た状態で行うので、お腹に圧をかけずに筋トレが出来ます!
楽そうに見えるけど、とりあえず片足毎に1分やってみてください。想像以上にふくらはぎがツンっとなります(笑)出来るようになればセット数を増やしていきます。
弾性ストッキング
メディキュット
着圧ソックスの中では有名どころですね。私は寝る時用と仕事用の2種類を使っていました。
ただ元々むくみやすい体質なので、着圧ソックス単体ではむくみはとれません。立ち仕事が忙しかった日や塩分多めの食事をした日の翌日は浮腫みはとれないので、結局は運動と食事のバランスが大事だと思いました😓
個人的にはロングタイプのものより、ふくらはぎまでタイプが好きでした。
ロングタイプは上の端部分が外側に丸まってきて、時々戻さないといけないのが嫌でした。丸まっている部分が痒くなることも…
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アンシルク
同じく弾性ソックスですが、こちらは医療用です。
妊婦さんは血の塊ができやすく、安静にしていると、よりそのリスクが高くなるので、切迫早産などで入院されている妊婦さんも、医師の指示で履いていることが多いです。
正直メディキュットよりアンシルクの方が、私は効きました😳
働いた後の足の重さがぜんぜん違う!
※医療用なので、使用は主治医に確認した方がいいです。
医療用はサイズをきっちり測ることが大事です。
足首・ふくらはぎ・大腿の周囲の長さを測ります。
https://www.alcare.co.jp/user/how-to-use/ansilk/
マタニティもあるのですが、私は蒸れるのが嫌でハイソックスタイプを使っていました。
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弾性ストッキングは正しく装着することが大切!
装着のタイミング:
朝起きてすぐ、まだ足がむくんでいない状態で、寝たまま履きます。
むくんでから履くと圧がかかりにくく履きにくくなる上に、圧迫のムラが出やすくなります。
特に妊娠中は静脈還流が悪くなりやすいので、予防的に履くことが大切!
横になったまま、足を持ち上げる姿勢で履くとスムーズです。
正しい圧力をかけながら履きやすくするための標準的な履き方:
①つま先部分まで裏返す(かかとが表に出るくらいまで)
②つま先を入れて、かかとの位置を合わせる
③かかとを合わせたら、裏返していた部分を上に引き上げる
④少しずつ両手で均等に引き上げ、シワやねじれがないように整える
この履き方をすることで、ストッキングの生地が密で滑りにくいため、裏返すことで摩擦を減らし、履きやすくなります。
また正しい位置にかかとを合わせやすくなり、圧のムラを防げます。
詳しい装着方法:https://www.alcare.co.jp/medical/ansilk/howto.html
食べ物や飲み物
むくみ対策の基本
- 塩分(ナトリウム)を控える
- 塩分をとりすぎると、体に水をためこみやすくなって、むくみやすくなります。
味の濃い料理、加工食品(漬物・ハム・インスタント食品)を控えめに。
- 塩分をとりすぎると、体に水をためこみやすくなって、むくみやすくなります。
- カリウムをしっかり摂る
- カリウムは体の中の余分な塩分(ナトリウム)を外に出す手伝いをしてくれます。
バナナ・ほうれん草・里芋・アボカド・切り干し大根など。
- カリウムは体の中の余分な塩分(ナトリウム)を外に出す手伝いをしてくれます。
- たんぱく質をしっかり摂る
- 血液中のたんぱく質(アルブミン)が水分を血管の中に引きとめてくれます。
アルブミンが少ないと水がしみ出てむくみやすくなります。
肉・魚・卵・豆腐・納豆など1食に1品は取り入れるようにします。
- 血液中のたんぱく質(アルブミン)が水分を血管の中に引きとめてくれます。
- 水分はしっかり摂る(むくみがあっても)
- 水分をがまんすると、体が水をためこもうとして逆にむくみやすくなります。
ちゃんと飲んだ方が体のめぐりがよくなるため、1日1.5〜2Lを目安に。
- 水分をがまんすると、体が水をためこもうとして逆にむくみやすくなります。
- 体を冷やさない食材を選ぶ
- 体が冷えると血のめぐりが悪くなり、水分もうまく流れずたまりやすくなります。
菜(にんじん・ごぼう・しょうが)など“温め食材”を意識してとりましょう。
- 体が冷えると血のめぐりが悪くなり、水分もうまく流れずたまりやすくなります。
とはいえズボラ助産師…
- 忙しくてインスタントで済ませることもあるし、
カリウムを多く含む食材も、温め食材もパッとは思いつきません🤣
たまたま作った料理に、たまたま入ってるな〜くらいの感覚(笑)
患者さんにはとてもじゃないけど、見せれない食事をする日も…
(医療者、食事が不健康あるある😅)- そこで一つなら続けられるかな〜と思い、始めたものがありました😳
むくみ対策に、たんぽぽコーヒー☕
たんぽぽコーヒーとは
- たんぽぽの根を焙煎したノンカフェイン飲料です。
- コーヒーのような香ばしい風味だけど、カフェインは含まれていません。
どんな効果?
- カリウムが豊富なので、体内の余分な水分を排出しやすくなります(=おしっこが出やすくなる)。
- 血液循環を助ける作用があるとされ、冷え性・肩こり対策にもなります。
- 一部では、たんぽぽの根がホルモンバランスを整え、母乳の出を良くする働きがあるという報告もあります。
飲んでみたリアルな感想
- ん〜〜コーヒー…かなぁ?薄めたコーヒー😳!
- (私はコーヒー通でもなく、コーヒーの苦みや酸味に詳しくない人間です)
- 体に良いなら飲み続けようかな、くらいの感覚で飲んでました。
実際の効果
- むくみにたんぽぽコーヒーだけが効いたかといわれたらそれは明確ではない…
- しかし、おしっこがむちゃくちゃ出る🤣(笑)
- 子宮が大きくなるにつれて頻尿ではあったけど(頻尿もよくあるマイナートラブル)、回数というより1回量が増えてすごいすっきり😳
- 体操や弾性ストッキング、たんぽぽコーヒーなどをいろいろ試した結果、おかげさまで妊婦健診の浮腫の項目は1回を除き(-)で経過しました👏
- (この1回は夜勤明けにそのまま妊婦健診へ行った日でした😅)
まとめ
- 妊娠中のむくみは、多くの妊婦さんが経験するものです。
- むくみは、妊娠に伴う身体の変化によって起こる自然な症状であることが多いです。
- しかし時には注意が必要なサインがあることも…😵💫心配な症状があるようなら、妊婦健診やかかりつけ医で相談しましょう!
- この記事では、助産師の私が、妊娠中に実践していたむくみ対策をご紹介しました!
- 運動:足首の曲げ伸ばし体操
- 弾性ストッキング:メディキュット、アンシルク
- 食べ物・飲み物:たんぽぽコーヒー
- 無理せず取り入れられる工夫をまとめています。
- 自分の体と相談しながら、できることを少しずつ試してみてくださいね☺️!